マルケ州
Tenuta Cocci Grifoni
The winery
テヌータ・コッチ・グリフォーニは、マルケ州南部に69ヘクタールのブドウ畑を所有する家族経営のワイナリーです。土着品種を中心としたワイン造りを行い、伝統を大切にしながらも、研究と革新を取り入れた栽培・醸造に取り組んでいます。
畑は、なだらかな丘陵地帯や急斜面、森、特徴的な粘土質の地形に囲まれた豊かな自然環境の中にあり、人と自然が共生する独自の生態系を形成しています。この土地との深い結びつきが、畑の管理からワイン造りに至るまで、すべての工程に反映されています。
環境・経済・社会の持続可能性を評価する「Equalitas」認証を取得し、有機・ヴィーガン認証、生物多様性の保全、環境負荷の少ない農法、持続可能なパッケージングなど、「誠実な農業」の理念を実践しています。同ワイナリーにとってサステナビリティとは、一時的な取り組みではなく、土地と人を未来へ受け継ぐための長期的な使命です。
Story
テヌータ・コッチ・グリフォーニの歴史は、イタリアを代表する土着白ブドウ品種「ペコリーノ」の復活と深く結びついています。かつてマルケ州で広く栽培されていたペコリーノは、収量の少なさから次第に栽培されなくなり、19世紀のフィロキセラ禍を経て絶滅寸前まで追い込まれました。
1982年、グイド・コッチ・グリフォーニは、この忘れられた品種の可能性を信じ、最後に残された古木を探し始めます。アルクアータ・デル・トロント近郊で貴重な古木を発見すると、その苗木を増やし、栽培技術とともに地域の生産者へ惜しみなく共有しました。この取り組みが、ペコリーノ復活の礎となりました。
その後、長年にわたる試験栽培を通じて、マルケ南部の冷涼な丘陵地がペコリーノ栽培に最適であることを確認。1990年には、世界で初めて100%ペコリーノによる単一品種ワインを発売し、この品種が持つ豊かなミネラル感、しっかりとした骨格、そして優れた熟成能力を広く知らしめました。
現在、ペコリーノはマルケ州を代表する土着品種のひとつとして高く評価されています。その復活は現代イタリアワイン史における重要な功績として知られ、テヌータ・コッチ・グリフォーニは今もなお、その歴史と土地の個性を未来へ受け継ぐ役割を担い続けています。
The Estate
テヌータ・コッチ・グリフォーニのブドウ畑は、マルケ州南部の丘陵地帯に広がり、アドリア海から吹く爽やかな風とシビッリーニ山脈がもたらす冷涼な気候に恵まれています。豊かな日照と海風、多様な土壌条件が組み合わさることで、ペコリーノやパッセリーナをはじめとする土着品種が、それぞれの個性を最大限に発揮できる理想的な環境が生まれています。
同ワイナリーにとって、テロワールはすべてのワインの原点です。気候や土壌、地形がブドウの香りや味わい、骨格を育み、それぞれの品種に唯一無二の個性を与えます。単一品種ワインはもちろん、「ロッソ・ピチェーノ・スペリオーレ」のようなブレンドワインにおいても、その土地ならではの個性が忠実に表現されています。
The Cellar
テヌータ・コッチ・グリフォーニでは、それぞれのブドウ品種と産地の個性を最大限に引き出すことを目的にワイン造りが行われています。伝統的な知識と現代的な醸造技術を融合させ、果実本来の魅力を尊重しながら、その年ならではの個性を丁寧に表現しています。
土着酵母による発酵や、ブドウの特性に合わせた穏やかな醸造、適切な熟成方法を採用し、白ワインは主にステンレスタンクでフレッシュさと香りを保ち、赤ワインには必要に応じてオーク樽熟成を取り入れることで、品種本来の個性を損なうことなく複雑さを与えています。セラーで行われるすべての工程は、土地の個性を映し出すエレガントなワインを生み出すという、同ワイナリーの哲学に基づいています。

